<バイオマスタウンを見学して>
近鉄エンジニアリング株式会社
武内弘光
先日3月15日に(社)日本機械設計工業会主催の岡山県真庭市バイオマス
タウンの見学ツアーに参加した。
バイオマスとは生物資源(bio)の量(mass)を表しており、「再生可能な、
生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」を総称した名称である。真庭市
は森林製材業が主要産業で、製材工場残材や建設発生木材からバイオマス
燃料を作り新しいエネルギーとして様々な設備に活用をしている。
①
カンナくずを圧縮しペレット燃料。
②
廃材は粉砕しチップ燃料。
これらの燃料をエネルギーとし、様々な施設や工場でボイラーや電用
蒸気タービン等を用い冷暖房や温水に利用、また発電などCO2排出
を抑えた街づくりに取り組むなど市役所も率先し循環型社会のモデル
タウンに取り組んでいる。
一連の設備は日本メーカのT社ボイラー設備やS社蒸気タービンなど
も導入されているがノウハウはスイスのメーカから設備技術を輸入し
ていると聞きコスト高になっているのではと危惧した。
設備や取り組みを東日本大震災で発生したがれきの再利用に利用でき
ないかと質問したがペレットは木材の含水率が6%以下であり、どう
もがれきには適さない様である。(海水による含水率が不均一)
日本の技術を持って取り組めばなんとかなる筈だが、東日本の膨大な
がれきは現在のところ焼却処分されている。
これは政治の問題なのか・・・。
福島原発事故を教訓としたエネルギー問題は深刻である。
石炭や石油、天然ガス、それと海底抽出に成功したメタンハイドレ
ードなどは有効であるが限りある資源であり遠い将来には枯渇するこ
とになるだろう。
何百年、何千年・・・その後どうなるのだろうか。
今回のツアーに参加するまで林業や製材業は我々が携わってきた機
械設計との関わりは少ないと思っていた。しかし設備は自動化が進み
最新の機械を導入している現場を目の当たりにした。単純であるが林
業を見直す必要性を感じた。
確かに太陽熱や風力は絶えることのないエネルギー源である。
しかし地球上の資源の中で木材や動植物は計画的に育てる事が可能で
あり、これからはもっと注目すべき産業分野になると思う。
機会が有れば真庭市バイオマスタウンツアーに参加頂きたい。機械設
計者であれば何らかの思いがふつふつと湧いてくる筈である。