サノヤス造船株式会社 水島製造所 殿 工場見学会
エース設計産業 株式会社 馬渕智幸
平成26年5月23日(金)、平成26年度JMC定時総会が岡山県倉敷市にて開催されました。
JR倉敷駅前に集合し、チャーターして頂いたマイクロバスにて、サノヤス造船株式会社 水島
製造所 殿に向かいました。定時総会に先立ち14:00~15:30までの1時間半の間、水島
製造所内の建造設備を工場見学させて頂きました。見学前には広報の方より丁寧な御説明と
ビデオ上映までして頂きました。造船所の見学は初めてでしたが、建造設備の構成が良く分
かり、工場見学の際には大まかな建造の流れが理解できました。広大な敷地に効率よく配置
された最新の建造設備で生産性向上と品質管理の徹底に努めて居られました。
中でも圧巻なの、2台の800tゴライアスクレーンの能力を最大に生かして、総組を大型ブロック
化し最大1000tまで製作可能な建造設備を誇って居られました。
※ゴライアスクレーンをバックに集合写真
さらにセミタンデム方式の建で2ステージ同時に巨大ブロックが接合されて船体が組み上がっ
ていきます。最大生産能力パナマックス・120000トン(パナマ運河航行可能限32.24m幅)、
年間12隻の建造が可能です。他にも生産・建造設備として、ショットブラスト・NC切断装置・
単板ライン溶接装置・塗装工場・2000tプレス・小組立溶接ロボット・移動式屋根・FCB溶接機・
NC形鋼切断ライン等の大型鉄鋼構造物を合理的に建造する生産機能を備えて居り、作業の
自動化・省力化を推進するとともに生産性向上と品質管理の徹底に努めて居られます。
更に船舶の設計においては、3D上流設計システムを導入され自社の設計標準を織り込み
カスタマイズすることによって、船体形状・区画配置・構造強度・復原性・推進性能・積付性能
などが複雑に絡み合う上流設計のプロセスを一つのアプリケーションに統合して居られます。
独自に構築した設計システムで最適なデザインを実現されています。またCFD(計算流体力学)
で流体現象をシュミレーションすることによって解析を行う技術を取り入れ、省エネ船開発に
活用されています。
それにより、STF:Sanoyas Tandem Fin(船舶の省エネ装置)を開発さ、平成18年5月に
特許を取得されています。STFは単板構造のフィンを、プロペラ前方の船体外板に個別に2枚
配置した非常にシンプルな船舶省エネ装置です。船舶抵抗の減少と推進効率の向上に寄与し、
最大6%の馬力低減効果が期待できます。サノヤス造船様は、このように新しい技術開発・研
究開発に注力されています。
話は変わりますが、弊社では、サノヤス様とは古いお付き合いが有りました。サノヤス・ヒシノ
明昌様時代に、パルケ・エスパーニャ向けのレジャー関係の取引をさせて頂きました。その当時、
弊社には造船関係の経験者がいませんでしたので、造船関係の取引はできなかったことを覚え
ています。わが社では、主に生産設備の設計を生業とさせて頂いています。工場見学させて頂
いて、船舶の奥深さや完成した時の達成感がうらやましく思えてきました。今では少しですが、
造船関係の引き合いも頂いて居り、今後はもっと造船関係にも携わっていけたらと考えて居りま
す。やり甲斐と達成感を造船関係の方々と享受できたらと思いました。
参加者の質問が専門的な事にも及び造船関係の技術者も居られるのかと思いました。これから
もJMCの技術研修会の継続を期待したいと思います。また、JMCの活動を通じて、技術的な
情報交換ができる場を持てたらとお思います。そうすることで何がしかの技術の伝承が出来れば
と思います。
当日は、中四国支部 代表世話人の兼信様には大変お世話になりました。この場をお借りして、
お礼を述べさせて頂きます。大変お世話になり、有難う御座いました。