東日本大震災から3年を想う
平成26年3月11日
近鉄エンジニアリング株式会社
武内弘光
3.11から3年、復興への道のりは遅々として進まず、被災地の避難者も未だ26万人を数える。
2014年は10万人とも言われる犠牲者を出した1923年の関東大震災から91年目、1995年の
阪神淡路大震災からは19年目と奇しくも覚えやすい年月を迎えた。この二つの大地震は家屋倒
壊と火災による犠牲者が殆どであるが、3.11の犠牲者並びに行方不明者は大津波による水害
死が90%を超える。
3.11大震災は阪神淡路大震災と復興のスピードはまったく違う。大津波と原発事故による放射
能飛散と言う複合的大災害は歴史上初めてであり、その規模も対応策も阪神淡路大震災とは根
本的に違う。
復興はいつになるのか、大津波が襲ってくるかも知れない沿岸部に人々が戻るには三年は早す
ぎる。家屋が流され家族や友人が亡くなった方々の傷心は癒される事は無い。また大津波を想
定した防潮堤建設や高台住居などの新しい街づくりは莫大な予算や被災者の生まれ育った土地
に対する未練もあり復興計画を進めるにも困難を極める。また放射能に汚染された地域に安心し
て戻れるのはあと何年待てばよいのか。
歴史上経験したことの無い災害であるが、今の自民党政権の基で強烈なリーダーシップを取り縦
割り行政から脱却し、被災者の方々と向き合い対応策をと切に願う。
被災企業も沢山有る、被害があまりにも甚大で撤退や廃業を余儀なくされた企業や工場もあるが、
被災企業の多くはトップの判断の基、工場や生産拠点の再稼動に向けて努力をされてきたと思う。
再建には多くの資金が必要であるがここでも大事なのはリーダーシップではなかったか。被災地
域の復興と発展には政府や行政の取り組みが重要なのは言うまでも無いが、企業の役割も重要
な鍵を握っている。
昨今、企業の拠点を東京へ移す大手企業が増えている。オリンピック招致も決定したこともあり、
ビジネスチャンスを期待し益々東京への一極集中も加速している。しかし現実には都市機能の要
である道路や電力、上下水は人口比率で限界を迎えている。
企業のトップの方々は東京ではなく是非東北地方に眼を向けて頂きたい。本社機能や中核となる
工場も東北地方にどんどん進出してほしい。そうならないと本当の意味での復興や発展には繋が
らないと思う。
過去に日本を襲った地震や台風がもたらした災害は歴史書からも地域を問わず発生している。
今後30年の内に必ず起こるとされている東海大地震や南海トラフ大地震への備えもその地域に
限った事では無い。日本はいつでもどこでも大地震や大災害が起こる地域なのである。
機械や科学の発達により、ここ20年ほどの間に起った数々の災害は詳細なデータが残されてい
る。特に阪神淡路大震災と東日本大震災の地震によって得られたデータは大変重要であり今後
の地震防災対策に役立ててほしい。20mや30mを超える莫大なエネルギーを抑える事は出来ま
せん。しかしエネルギーを逃がす構造は防潮堤も構造物にも可能だと思う。機械設計に携わって
いる方々やJMC会員の方々も何らかの形で地震や防災対策に向かう機会をお持ちだと思う。
設計者としてエンジニアとして教訓を生かして活きたいものである。
最後に未だに大変な苦労をされている被災地並びに被災者の方々にお見舞いを申し上げます。